1. 在宅医療に参入するなら

2016/04/01
在宅医療とは、医院内ではなく医院外で行う診療のことです。医師だけで在宅医療を行うと効率が悪いため、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなどと協力することも多いはずです。政府は、入院患者を早く退院させることを目標にしていますが、その後患者を診る医師がいなければ達成できないことは分かっています。そこで、在宅医療を推し進めているのです。

そもそも、夜間診療も、土日診療も行わず、外来の患者を診ているだけで、簡単に十分な売上と利益が稼げる時代ではなくなってきています。全ての医院が、これから在宅医療について一度は考えてみることになるのではないでしょうか。

午前中に外来、午後に在宅医療も可能と考える院長もいるかもしれません。ただ実際には午前中に在宅の患者の容態が悪化すれば、外来を中断することになります。診療時間がまちまちでは、外来の患者は離れてしまいます。

初めて在宅医療に参入するならば、次の2つの形態が望ましいでしょう。

①外部の在宅医療専門の医院と連携する。
医師に在宅医療の経験がないと、診療を効率よく行えず、費用に見合った利益を生むことができなくなってしまいます。
医師が患者のところに行くときに持っていく医薬品、処置器具、書類はきちんと管理してスケジュールもみんなで共有するなどしなくてはいけません。理論的には分かっていたとしても、いきなり在宅医療に参入すれば、試行錯誤となり無駄も多くなります。そこで、すでに在宅医療に参入している医院と手を組み、教えてもらうのです。まだまだ在宅医療を行っている医院は少なく、人手不足なので、競合とは考えずに教えてくれるはずです。

②医院の中で、別部門として立ち上げる。
在宅医療を行うことを前提に雇っていない看護師が、在宅医療はやりたくないということもあります。車の運転も慣れておらず、設備が整った施設での診療もできません。そこで、今までの外来のチームとはまったく別の部門として、看護師を雇い、在宅医療部門を立ち上げます。これならば専門職としての気持ちも持てるはずです。
なお、医院から16キロ以内でなければ保険診療とはなりません。そして、介護施設などの同一建物内で患者を診る場合は、同一建物以外で患者を診る場合と比べて、かなり医院の診療報酬は下がりますので注意が必要です。